廊下

廊下には,基本的にものを置かないことがルールです。また,壁面に設置された消火栓や消火器,AED等は,すべて埋め込み型になっており,必要な時に,壁面の扉を開けて取り出すようになっています。環境面で「突起物がない」ということは,とても安心感のあるものです。 


 廊下の両端には,色と材質の異なるグリーンベルト(実際には濃いグレー色)を敷設しています。これは,床面と壁面のコントラストをつけることで,床の端が明確に認識できるようにするだけでなく,空間が続いている方向(通路の縦断方向)を明確に示す役割もあります。このことによって,廊下の交差点での分岐点がわかりやすくなります。 

廊下には,紺色の中央線があります。これは,右側通行を促す役目があり,両校の生徒や教員が不用意に衝突することのないよう危険防止のための工夫でもあります。また,廊下の進行方向を示す役目も果たしています。 

肢体不自由児・者にとっての手すりとは,「握って」「昇降時の支えとして」という介助設備としての役割が主体となりますが,視覚障がい児・者にとっては,「手すりに触って」,「手すりに沿って」「手を滑らせて」歩行する,安心のための“ガイド”として利用する役割が多くあります。

 

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階段

 階段は,踏み面(白色)と蹴上げ(紺色)のコントラストをはっきりすることで,上る時に1段1段を認識しながら上ることができるようにしています。  
 踏み面の先端部分は,赤色のラバーをつけ,スリップ防止と,階段の先端を強調する役目を果たしています。また,階段の1段目と最終段に赤色LEDを設置し,昇降いずれの場合にも,見やすい配慮をした階段もあります。階段を下りる時には,踏み面しか見えないため,このラバーの色の識別のしやすさがカギとなります。 
      
 廊下(塩化ビニール,薄ベージュ色)から階段室に入ると,床面が紺色のカーペットに変わります。床の色や材質を変えることによって,階段ゾーンに入ったことがわかるようにしています。階段の起点と終点には,紺色のカーペットに対して,注意喚起用の黄色い点状の視覚障害者誘導ブロックを敷いています。  
 また,廊下から階段室に入る時の衝突緩衝材として,壁の端にコーナーガードをつけています。 
    
 手すりを伝いながら階段を上っていると,途中で踊り場に進入します。そのまま手すりを伝って進むと,踊り場ゾーンで内で2回角を曲がることになります。角を曲がる時には,体が壁に向かって直進していく状態になるので,角の手すり部分を壁から離し,体が壁に接近しないようにする必要があります。  
 本校の場合は,手すりの角を切った隅切りの状態にし,壁への接近を防いでいます。 

 階段の手すりは,上り(下り)始めの位置と下り(上り)終わりの位置を判断するために重要な役割を果たしています。手すりの角度が変化する位置(水平部から斜め部への変化位置)で,階段が始まる!(終わる!)と容易に認識でき,最初のステップや最後のステップの準備に入ることができます。  

 

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調光システム

視覚支援学校の各教室の照明は,必要に応じて照度を調整することができます。まぶしさを感じることで見えにくい生徒は,遮光眼鏡をかける等の自分でできる工夫の他にも,環境の配慮として,照明の照度を落とす,カーテンをひく,光が差し込む側についたてを置くこと等が有効です。 
 

うす暗いと見えづらい生徒の場合は,照明の照度を上げる,自分の影で手元が見えにくくなることを避けるために電気スタンドをつける等の工夫が有効です。  
 このように,調光システムとその他の工夫を合わせて,幼児・児童生徒に合ったよりよい環境を整え,学習効果を上げることが大切です。

 

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音声誘導設備

正門・東門・玄関・生徒用昇降口に,入り口を案内する音声装置のセンサー及びスピーカーを設置しています。 案内アナウンスを流すには2種類の方法があります。 
     

①「シグナルエイド(日常生活用具給付等事業候補品)」使用  
シグナルエイドを持っていると,スロープを上りきった辺りを通過した時に,天井に設置されたセンサーが反応し,シグナルエイドが「ピピッ」と鳴ります。そこで,シグナルエイドのスイッチを押すと,玄関の天井からアナウンスが流れます。 

②磁気を仕込んだ白杖を使用  
「音声誘導用ネオジシート」を巻いた白杖か,「マグネット内蔵石突き」がついた白杖で,特定の警告ブロック下に埋設した磁気センサーの上を通過した時,白杖の磁気の移動変化を察知してセンサーが反応し,天井からアナウンスが流れます。

 

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案内表示

①総合案内板
校長室前にある総合案内板の左半分には校地図を,右半分には,白黒反転文字で,校舎の各階にある教室名を表示しています。また、校地の触地図と,各棟の大まかな位置関係を説明した点字文も掲載しています。

②各階案内板
各階共通の場所に設置しています。  
教室数が多いため,案内が複雑にならぬように地図内の教室に番号をふり,その番号にあたる教室名を表にして示しています。また,触地図には,ざらつき感のある手触りで長い廊下を表現することで,枠線で表現した箱型の教室と触り分けができるようにしています。


 ③トイレ案内板
視覚障がいのある方が一人で外出した時に困ることの一つが,知らない場所でのトイレの使用だと言われています。本校舎を使い慣れていない視覚障がいのある方がトイレを使う場合を想定して,入口壁面に,トイレ内のレイアウトを表示した配置図を設置しています。 

 ④階数表示
入学したばかりの新入生や,この校舎を普段利用することが少ない来校者は,校舎内に何らかの手がかりがあると安心します。本校では,階によって,階段室の一部の壁面を色づけし,階数表示を大きくしています。また,点字使用の方には,手すりに階数表示をしています。  
  

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その他の工夫

「黒板」
教室には,壁貼り付け黒板,1枚昇降黒板,上下黒板,上下ホワイトボードなど使用用途に応じた様々な黒板を設置しています。 
    

「棚の工夫」 
教室の作り付けの戸棚,靴箱等の棚の小口等は,濃いグレーにして側面の色とコントラストをつけています。棚の部材すべてが同じ色では,正面から見た時に,棚全体が一色に見え,棚の奥行きや区画もわかりづらくなります。そのため,小口を色づけすることで1つずつの区分けをわかりやすくしています。 
 
「さわれる校章」
1階に,両校の「さわれる校章」を掲示しています。枠から取り外して,見たりさわったりすることができます。デザインによって,凹凸をつけたり手触りをかえたりしています。 
   

「中庭の工夫」
中庭には,砂場やブランコ,築山(滑り台),肋木等の遊具があります。全盲の子どもたちが,決まった入口から中庭に入って遊具で遊ぶ時,遊具から約1m幅の周囲に芝生を張ることで,路面の変化(芝生と土)を情報とし,遊具ゾーンに進入したことがわかるようにしています。 

 「遊具スペースの工夫」
運動場西には,鉄棒,ブランコ,複合遊具などを設置しています。さらに,敷地東には,防球ネットや手すりで区切った遊具スペースを設置しました。これは,目が見えない・見えにくい子どもたちが,限定された安心・安全な空間でのびのびと遊ぶためのスペースです。スペースの外周には,地面と異なる踏み心地の歩行ゾーンを用意しています。また,手すりも設置し,その部分の点字表示を手がかりに各遊具に移動することができるようにしています。 

 また,学校敷地内には,葉の形や匂いに特徴がある木,実がなる木等,季節を感じられる木々を植えています。 
 

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